2012年8月2日木曜日

『憲法判例を読む』(芦部信喜,岩波セミナーブックス)


素晴らしく素晴らしい本です。
必携の一冊です。
『買い』の一冊です。
私のような理解力怠慢な人間でもスラスラと読め、かつ、その内容には光り輝くものがあります( ゚д゚ )b


実際、私は本書によって初めて違憲審査基準の振り分けを把握できました。
特に、《合憲性の推定が働く「合理性の基準」は、合理的関連性の基準であれ実質的関連性の基準であれ、違憲であると主張する側に「合理性がないこと」の主張立証責任が課される》ということを本書で初めて知りました。自分にとっては目からウロコでした。

LRAの基準と実質的関連性の基準とは、その判断に際して行うことはほとんど同じです。
しかし、LRAの基準は規制をしている側(合憲だと主張する側)に主張立証責任があるのに対し、実質的関連性の基準は規制を受けている側(違憲だと主張する側)に主張立証責任があるということです。

私は以前から、LRAの基準と厳格な合理性の基準の使い分けが理解できていませんでした。
審査の内容がほとんど同じなのにどーやって使い分けてるんだろう・・・という疑問があったのです。
しかし、本書によってこの疑問は解決しました。
LRAの基準と厳格な合理性の基準の違いをこれほどまでに明確に説明してくださって本当に有難うございます。ということです。

このあたりを意識できると、答案上で「原告の主張部分で[実質的関連性の基準]を立てる」ということに違和感を感じるようになると思います。実際に、私は、友人がロースクールの期末試験で「原告主張:実質的関連性の基準、被告(国)主張:合理的関連性の基準、私見:LRAの基準」で答案を書いた、というのを聞いた時に違和感を感じました。なぜ原告はわざわざ自分に主張立証責任を課すような基準を採用するのだろう・・・自虐的な何かを秘めているのだろうか・・・等と考え込んでしまいました。

それから、『憲法上の権利の作法』等でドイツ型の審査方式(いわゆる三段階審査)を勉強するに際しても、やはりこれまでの最も基本的な型(芦部説といってもいいかと思います)を踏まえた上で勉強すべきでしょう。
安易に三段階審査等に飛び付かず、先ずは芦部説をキッチリと押さえておく必要があるのではないか、私自身はそう考えています。
とにもかくにも先ずは芦部説を丁寧に丁寧に押さえるべきでしょう。
芦部説を疎かにして、人気があるという理由で安易にドイツ型の三段階審査を学ぶのは危険だと思います。


まぁ・・・わかりませんけど(笑)



いずれにせよ、本書は非常にオススメの1冊であり、必読書だと思います。
絶対に読みましょう。
一日で読めますから、絶対に読みましょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿