[事実]→[判旨](→[補足意見・意見・反対意見])
の順でまとめられている。
解説は無いが、個人的にはそもそも判例集に解説は不要だと思っている。
判旨には、その結論を導くための規範や考え方が示されているので、それを読めば十分だと思う。学説だけを学びたい場合には芦部先生や4人組、高橋先生の基本書を参照すればいいだけですしね。
[判旨]の整理も分かりやすく、何を論じているのかを明確にしているのが非常に助かる。
例えば、本書274頁に掲載されている薬事法違憲訴訟(最大判昭和50年4月30日民集29巻4号572頁)を見てみると、[判旨]が以下のように大きく5つに区分されています。
[1]…職業の自由の規制と規制措置の合憲性判断方法
[2]…許可制の合憲性判断
[3]…薬局開設に対する許可制自体は合憲
[4]…薬事法の規制目的は、消極的・警察的目的
[5]…立法事実の不存在
こうしたパラグラフ毎のタイトル付けは個人的には非常に嬉しい。
何を論じているのかがパッと見て認識できるし、分かり易い!!!
(※個人的には、論文試験でもこうした構成で答案を書けば非常にわかりやすい親切な答案になると思う。)
ただし、
欲を言えば、もっと[事実]の部分を充実させて欲しかったですね。。
刑事訴訟法の判例集に『判例教材刑事訴訟法 第4版』(三井 誠 (編集) )というものがあるのだが、あれくらいまで事実を掲載してほしいと感じた。
規範をどう導いていくのか、事実をどう認定していくのか、
いわゆる「法律解釈」と「事実認定」の両輪は、判決文においてしっかりと詳細に記述されていますから、論文の答案作成において一番の参考になります。
そういう意味で、本書にもっと[事実]についての記述が増えてくれれば…ということです。
※ちなみに、本書は平成22年(2010年)1月までの判例をカバーしているので、それ以降の重要判例については別途『重要判例解説 (ジュリスト臨時増刊)』等でカバーしておかなければならない点に注意です。
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