小沢一郎氏が『憲法の基本理念について』と称した勉強会を開くとのことで、ニコニコ生放送にて視聴しました。
↓これがニコニコ生放送の際に表示された説明文。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー2月28日(火)17時より、参議院2010年初当選組有志一同が主催する 『小沢一郎勉強会の第2回目「憲法の基本理念について」の模様を生中継します。
第2回目となる今回は 『日本国の基本ルールである憲法について』 。
その基本理念を中心に語りながら、
出席者と建設的な議論を重ねていく予定です。
同勉強会は、参議院2010年初当選組有志一同
(有田芳生、江崎孝、大野元裕、小見山幸治、斎藤嘉隆、田城郁、谷亮子、 徳永エリ、西村まさみ、安井美沙子)が呼びかけ人となって主催するものです。
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まず、視聴してみての感想ですが、
「物足りない」。 この一言に尽きます。
もっともっと小沢氏の理念が現れると思っていたのですが、無かったです。
ま、「勉強会」ですから、それで当然なのかもしれません。
しかし、小沢氏の「あー…」とか「えー…」とかが聞きづらさを増長しているように思えて仕方がありません。1センテンスが長く、句点で長々と話を続けていくので、聞いている方としてはかなりキツイのです。分かりづらい話し方だと思います。
判決文なんかも句点で長々と文を続けていくのですが、これと同じことを口頭でやられると若干キツイです。。
50分という短い時間でしたが、その中にも彼の思想・価値観が現れているような箇所が2箇所ほどあったので、ちょいと紹介(分析)。
※「〜〜〜」←この字体になっている部分が小沢氏の発言です。
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気になった点其の①。
「明治憲法も現行憲法も、天皇は政治責任を負わない。この点で、両者の間にはある種の共通した考え方(理念)が存在する。」
このような発言がありました。
私はこの考え方には全く賛成できません。
たしかに、明治憲法下においては、政治責任の所在がはっきりとしていない体制、いわば無責任政治であったことは確かであろう。
また、現行憲法下においても、天皇の国事行為は内閣の助言と承認に基づいて行われるため、天皇がその責任を負うことは無いといえる。
しかし、結論が同じだからといって、両者間に共通の価値観が横たわっていると考えるのはどうであろうか。私は間違っていると思う。
ものすごく簡単に言ってしまえば、明治憲法下において天皇が政治責任を負わないのは、その特殊な地位ゆえのことである。(※特殊な地位=主権者、元首、統治権の総攬者、神の意志に基づく存在。)
一方で、現行憲法下において天皇が政治責任を負わないのは、そもそも内閣の自己責任となるからである。
「政治責任を負わない」という結論に至るその根拠が、両者では全く異なります。
現行憲法において内閣が天皇の国事行為について責任を負うのは、天皇の身代わりとして責任を負うということを意味しているのではない。内閣が責任を負うのは、あくまでも内閣自身の自己責任に基づいてである。
私はこのように考えるのですが、小沢氏はどうやら違う考え方のようです。
小沢氏がどのような考えのもとでこの発言をしたのかは分かりませんが(なにせこの部分についての説明が無かったもので)、私には若干、違和感の残る発言でした。
ちなみに、小沢氏は「天皇は実質的には元首である。」と明確に断言していたのも印象的でした。
そして、最近話題になっている「首相公選制」を引き合いに出して、「首相公選制となった場合、元首は誰になるのかといった部分を議論しなければならない」とも発言されていました。
確かに、首相公選制を採った場合の「元首」の問題には私も興味が湧きました。
一度じっくり考えてみたいトピックではあります(*'-'*)。
この点、橋下大阪市長は首相公選制であっても、天皇制を採用している日本においては、元首は天皇陛下である、という主張をされていますね。
※『天皇陛下』と称すべきとの声もあるでしょうが、小沢氏は「天皇」と表現していたので、ここでも「天皇」とだけ表記させていただきました。
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気になった点其の②
「私学助成金は憲法違反である。」
私はこの意見にも反対です。
憲法89条は、「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」と規定しています。
私学助成金を憲法問題として考える際に問題となるのは、下線で強調した部分です。
憲法89条は、「公の支配に属しない」教育事業に対して公金支出を禁止しているだけですから、「公の支配に属する」と言える教育事業に対しては公金支出しても憲法違反とはなりません。
そこで問題となるのは、「公の支配」とは何哉、ということです。
この文言解釈をする際に基準となるのは、もちろん「条文の趣旨」です。
では、憲法89条の趣旨は何なのでしょうか。
公費濫用防止にあるのか、自主性確保にあるのか、それとも中立性確保にあるのか...
ここが意見の分かれ目となります。(小沢氏には、自身はどの立場に立つのかということを是非述べてほしかった...)
私としては、憲法89条の趣旨は「公費濫用防止」にあると考えますので、「公の支配」の意味も、「公費濫用を防止し得る程度の監督」という意味であると解します。
とすれば、私立学校も法律によって監督されていますから、「公の支配に属する教育事業」と言えます。
したがって、私学助成金は憲法89条に違反しないと私は考えます。
小沢氏は憲法89条の「公の支配」という文言をどのように解釈しているのだろう、そしてまた、憲法89条の趣旨は何であると考えているのか。
この部分こそを最も論じるべきであったが、小沢氏は何も述べなかった。ただ単に論点と自説の結論を述べただけで、理由付けを述べてはくれなかった。。
ただ一言、「私は私学助成金は憲法に違反するのではないかと思っている。」と述べただけであった。これには残念。。
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以上2点が個人的に気になった箇所ですかね。
あとは…
「憲法は皆が幸せに暮らしていくために皆で決めたもの。社会状況から考えて、幸せになるために必要なら憲法も改正すればいいし、改正しない方が幸せに暮らせるなら改正しなければいい。」
という発言もありました。
これは…軟性憲法が好き、ということですかね??
まぁ、個人的には小沢氏の「憲法は皆が幸せに暮らしていくために皆で決めたもの」という表現に非常な胡散臭さを感じましたが。。
こんなところです。
基本的に、憲法前文に現れている基本原理の紹介とか、論点の提示とか、そんな感じの基本事項を述べて終了しました。小沢氏が自身の意見を提示・論証することはほとんど無かったですね。回避していました。
あと、小沢氏による解説が終わったあとに質疑応答があったらしいのですが、その質疑応答部分はまるごとカット。カットというか報道陣は強制退室させられていました。
こういう公開の勉強会って、小沢氏にお金は渡るのでしょうかね??
どうなんでしょ(*'-'*)。
いずれにせよ、「この(レベルの)内容」を「国会議員」が「勉強会」として「50分」かけて行なうということが何を意味するのか・・・悲しい現実です(*'-'*)。(*'-'*)。(*'-'*)。。
こんな状況でも、“一応”は世の中が回っているのがまた恐ろしい。
いや、むしろ、回ってしまうからこそ、その瑕疵にいつまでも気付かず、手遅れになってしまうのではないか。最初から回らなければ、初期段階で修正せざるを得ませんもの。
なまじ世の中がまわってしまうからこそ、余計に病理が広がってしまうのではないでしょうか。
【追記】
今回の勉強会はニコニコ生放送では好評だったようです。
「物足りない」。 この一言に尽きます。
もっともっと小沢氏の理念が現れると思っていたのですが、無かったです。
ま、「勉強会」ですから、それで当然なのかもしれません。
しかし、小沢氏の「あー…」とか「えー…」とかが聞きづらさを増長しているように思えて仕方がありません。1センテンスが長く、句点で長々と話を続けていくので、聞いている方としてはかなりキツイのです。分かりづらい話し方だと思います。
判決文なんかも句点で長々と文を続けていくのですが、これと同じことを口頭でやられると若干キツイです。。
50分という短い時間でしたが、その中にも彼の思想・価値観が現れているような箇所が2箇所ほどあったので、ちょいと紹介(分析)。
※「〜〜〜」←この字体になっている部分が小沢氏の発言です。
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気になった点其の①。
「明治憲法も現行憲法も、天皇は政治責任を負わない。この点で、両者の間にはある種の共通した考え方(理念)が存在する。」
このような発言がありました。
私はこの考え方には全く賛成できません。
たしかに、明治憲法下においては、政治責任の所在がはっきりとしていない体制、いわば無責任政治であったことは確かであろう。
また、現行憲法下においても、天皇の国事行為は内閣の助言と承認に基づいて行われるため、天皇がその責任を負うことは無いといえる。
しかし、結論が同じだからといって、両者間に共通の価値観が横たわっていると考えるのはどうであろうか。私は間違っていると思う。
ものすごく簡単に言ってしまえば、明治憲法下において天皇が政治責任を負わないのは、その特殊な地位ゆえのことである。(※特殊な地位=主権者、元首、統治権の総攬者、神の意志に基づく存在。)
一方で、現行憲法下において天皇が政治責任を負わないのは、そもそも内閣の自己責任となるからである。
「政治責任を負わない」という結論に至るその根拠が、両者では全く異なります。
現行憲法において内閣が天皇の国事行為について責任を負うのは、天皇の身代わりとして責任を負うということを意味しているのではない。内閣が責任を負うのは、あくまでも内閣自身の自己責任に基づいてである。
私はこのように考えるのですが、小沢氏はどうやら違う考え方のようです。
小沢氏がどのような考えのもとでこの発言をしたのかは分かりませんが(なにせこの部分についての説明が無かったもので)、私には若干、違和感の残る発言でした。
ちなみに、小沢氏は「天皇は実質的には元首である。」と明確に断言していたのも印象的でした。
そして、最近話題になっている「首相公選制」を引き合いに出して、「首相公選制となった場合、元首は誰になるのかといった部分を議論しなければならない」とも発言されていました。
確かに、首相公選制を採った場合の「元首」の問題には私も興味が湧きました。
一度じっくり考えてみたいトピックではあります(*'-'*)。
この点、橋下大阪市長は首相公選制であっても、天皇制を採用している日本においては、元首は天皇陛下である、という主張をされていますね。
※『天皇陛下』と称すべきとの声もあるでしょうが、小沢氏は「天皇」と表現していたので、ここでも「天皇」とだけ表記させていただきました。
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気になった点其の②
「私学助成金は憲法違反である。」
私はこの意見にも反対です。
憲法89条は、「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」と規定しています。
私学助成金を憲法問題として考える際に問題となるのは、下線で強調した部分です。
憲法89条は、「公の支配に属しない」教育事業に対して公金支出を禁止しているだけですから、「公の支配に属する」と言える教育事業に対しては公金支出しても憲法違反とはなりません。
そこで問題となるのは、「公の支配」とは何哉、ということです。
この文言解釈をする際に基準となるのは、もちろん「条文の趣旨」です。
では、憲法89条の趣旨は何なのでしょうか。
公費濫用防止にあるのか、自主性確保にあるのか、それとも中立性確保にあるのか...
ここが意見の分かれ目となります。(小沢氏には、自身はどの立場に立つのかということを是非述べてほしかった...)
私としては、憲法89条の趣旨は「公費濫用防止」にあると考えますので、「公の支配」の意味も、「公費濫用を防止し得る程度の監督」という意味であると解します。
とすれば、私立学校も法律によって監督されていますから、「公の支配に属する教育事業」と言えます。
したがって、私学助成金は憲法89条に違反しないと私は考えます。
小沢氏は憲法89条の「公の支配」という文言をどのように解釈しているのだろう、そしてまた、憲法89条の趣旨は何であると考えているのか。
この部分こそを最も論じるべきであったが、小沢氏は何も述べなかった。ただ単に論点と自説の結論を述べただけで、理由付けを述べてはくれなかった。。
ただ一言、「私は私学助成金は憲法に違反するのではないかと思っている。」と述べただけであった。これには残念。。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以上2点が個人的に気になった箇所ですかね。
あとは…
「憲法は皆が幸せに暮らしていくために皆で決めたもの。社会状況から考えて、幸せになるために必要なら憲法も改正すればいいし、改正しない方が幸せに暮らせるなら改正しなければいい。」
という発言もありました。
これは…軟性憲法が好き、ということですかね??
まぁ、個人的には小沢氏の「憲法は皆が幸せに暮らしていくために皆で決めたもの」という表現に非常な胡散臭さを感じましたが。。
こんなところです。
基本的に、憲法前文に現れている基本原理の紹介とか、論点の提示とか、そんな感じの基本事項を述べて終了しました。小沢氏が自身の意見を提示・論証することはほとんど無かったですね。回避していました。
あと、小沢氏による解説が終わったあとに質疑応答があったらしいのですが、その質疑応答部分はまるごとカット。カットというか報道陣は強制退室させられていました。
こういう公開の勉強会って、小沢氏にお金は渡るのでしょうかね??
どうなんでしょ(*'-'*)。
いずれにせよ、「この(レベルの)内容」を「国会議員」が「勉強会」として「50分」かけて行なうということが何を意味するのか・・・悲しい現実です(*'-'*)。(*'-'*)。(*'-'*)。。
こんな状況でも、“一応”は世の中が回っているのがまた恐ろしい。
いや、むしろ、回ってしまうからこそ、その瑕疵にいつまでも気付かず、手遅れになってしまうのではないか。最初から回らなければ、初期段階で修正せざるを得ませんもの。
なまじ世の中がまわってしまうからこそ、余計に病理が広がってしまうのではないでしょうか。
【追記】
今回の勉強会はニコニコ生放送では好評だったようです。
ニコニコ生放送修了後のアンケートでも、76.2%の方がポジティブな感想を持っていましたので。(因みに、◎(満足)が49.8%、◯(まぁまぁ満足)が26.4%、△(ちょい不満)が6.8%、×(不満)が17.0%となっておりました。)
もっとも、このアンケート結果が国民あるいはネットユーザー全体の意思を反映しているとは言えない、という当たり前のことを認識しておくべきでしょう。
実際、小沢氏を賞賛するだけのコメント(発言の内容と関連しない、単なる「小沢さんだけが頼りです」とか「小沢さんは良い」みたいなコメント)が多く流れていましたのが気になりました。
それから、勉強会の中で小沢氏が「今の日本には、非常事態時において政治を機能させる(動かせる)手続きが法定されていない。だから、仮に内閣全員が一度に死んでしまった場合、一種の無政府状態が続いてしまい、政治が機能しなくなってしまう。」という旨の発言をしていましたが、このトピックはとても興味深かったです。
自分はそんなこと考えたこともなかったので、とても新鮮で刺激がありました。
学校では教えない(教科書には載っていない)ようなこういう部分を中心に議論すると、非常に面白い勉強会になりそうですね(*'-'*)。
「政治家という立場から見た憲法」ということをテーマ(視点)にして議論するととても面白いかもしれません。
それでは皆さん、おやすみなさい。
それでは皆さん、おやすみなさい。
こんばんは。私はまだこれから録画で見るのですが、
返信削除以外に評判良かったみたいですけどね。特に分かりやすさが高評価を得ているようで、中学生や高校生に見せたいという人もいました。
ですので、>「この(レベルの)内容」を「国会議員」が「勉強会」として「50分」かけて行なうということが何を意味するのか・・・悲しい現実です(*'-'*)。(*'-'*)。(*'-'*)。。
と思うのは憲法に関心を持っていてそれなりによく知っている大人だけかもしれません。それに、他の国会議員が全然しないんですから(大苦笑)。
yaemonさんこんにちわ。
削除Blog始めてから初めてのコメントで、とても緊張しております。
そして、ありがとうございます(*'-'*)。
今回の勉強会はニコニコ生放送では好評だったようです。
ニコニコ生放送修了後のアンケートでも、76.2%の方がポジティブな感想を持っていましたので。(因みに、◎(満足)が49.8%、◯(まぁまぁ満足)が26.4%、△(ちょい不満)が6.8%、×(不満)が17.0%となっておりました。)
そういえば、勉強会の中で小沢氏が「今の日本には、非常事態時において政治を機能させる(動かせる)手続きが法定されていない。だから、仮に内閣全員が一度に死んでしまった場合、一種の無政府状態が続いてしまい、政治が機能しなくなってしまう。」という旨の発言をしていましたが、このトピックはとても興味深かったです。そんなこと考えたこともなかったので、とても新鮮で刺激がありました。
学校では教えない(教科書には載っていない)ようなこういう部分を中心に議論すると、非常に面白い勉強会になりそうですね(*'-'*)。
コメントして下さり、本当に有難う御座いました。
初めてのコメント返信なので何か失礼な部分がありましたら何卒容赦願います。m(__)m
それでは失礼致します。m(__)m