2012年6月3日日曜日

任意処分と強制処分【行政警察活動】


【司法警察活動】
→過去の犯罪を対象としている。
①捜査比例の原則(刑訴法197条1項本文、憲法13条)
②強制処分法定主義(197条1項但書)
③令状主義(憲法33,35条)

【行政警察活動】
→将来の犯罪を対象としている(犯罪予防)。
①「法律の留保」原則(=法律による行政)
②警察比例の原則(警職法1条2項)

※当たり前のことだが、行政警察活動おいて「強制処分」を行うことはできない。
なぜなら、警職法2条3項が「強制処分をするなら刑訴法使えよ〜」と規定しているから。行政警察活動において許されている行為は「任意処分」のみ!!
そして、行政警察活動においては任意処分であってもその処分の根拠規定が要求される。なぜなら、規制①「法律の留保」原則が適用されるから。この点、司法警察活動においては、「強制処分」をする場合にのみ根拠規定が要求されている(強制処分法定主義、197条1項但書)。→したがって、行政警察活動が問題となっている時には先ず真っ先に「根拠規定」をcheckすることになる。(司法警察活動の場合は先ずは強制処分か否かをcheckして、強制処分ならその根拠規定をcheckしていくこととなる。)

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[行政警察活動]
■職務質問
step1.根拠規定→警職法2条1項。
step2.警察比例の原則に適合しているか否かのcheck→公益的要請(必要性・緊急性)と私益的要請(被侵害法益の性質・程度)とを比較して相当と言えるかどうかのcheck。
Q.職務質問の際に有形力行使することは認められるか。
Ans.認められる。根拠規定→警職法2条1項の「停止させて」に含まれると解する。もっとも、行政警察活動である以上、強制処分にあたるようなことは絶対的に許されない。また、警察比例の原則から、有形力行使につき相当性の判断も必要となる。強制処分に当たるか否かの判断は、強制処分の定義に当てはまるか否かで判断すればOK。
ex.交通量の殆ど無い道路において、意識のハッキリしている相手から、原付バイクのエンジンキーを抜き取って取り上げた行為→NGに傾く。
ex.積雪によって滑りやすい状態にあった道路において、覚せい剤使用の嫌疑があり、実際に意識がはっきりしていない相手から、自動車のエンジンキーを抜き取って取り上げた行為→OKに傾く。

■任意同行
step1.根拠規定→警職法2条2項
step2.同上。

■所持品検査
step1.根拠規定→警職法2条1項(職務質問に付随する行為として認められる。)
step2.警察比例の原則に適合しているか否かのcheck→公益的要請(必要性・緊急性)と私益的要請(被侵害法益の性質・程度)とを比較して相当と言えるかどうかのcheck。この点、行政警察活動である以上、強制処分にあたるようなことは絶対的に許されない。すなわち、「捜索」と同視できるような所持品検査は絶対的に許されない。強制処分に当たるか否かの判断は、強制処分の定義に当てはまるか否かで判断すればOK。
ex.着衣の外側から触れて確認する行為→OKに傾く。
ex.着衣の内ポケットに手を差し入れて検査する行為→NGに傾く。
ex.バッグのチャックを開けて中身を一瞥する行為→OKに傾く。
ex.バッグのチャックを開けて中身を取り出す行為→NGに傾く。
ex.アタッシュケースの鍵を破壊して中身を一瞥する行為→NGに傾く。

■自動車検問
step1.根拠規定→警職法2条1項(職務質問を行う上での前提行為として認められる。=職務質問の要件を確認するためには自動車を停止させる必要があることから認められる。)
step2.警察比例の原則に適合しているか否かのcheck→公益的要請(必要性・緊急性)と私益的要請(被侵害法益の性質・程度)とを比較して相当と言えるかどうかのcheck。具体的には、①適切な場所(ex.交通違反等の多発する地域)かどうか、②短時分の停止かどうか、③相手方の任意の協力を求めるかたちで行われたかどうか、④自動車利用者の自由を不当に制約しない方法・態様で行われたかどうかという事情を判断要素として天秤のお皿に乗せ、総合的に判断する。
ex.車止めを利用して強制的に車を停止させる行為→NGに傾く。
ex.長時間の質問→NGに傾く。



※ ex.において「〜に傾く。」という表現をしているのは、結局のところ事案の状況次第だからです。形式的に「これこれこういう行為はOK」というように固定的・形式的に暗記していても意味がありません。そんな刑訴法はツマラナイ(*'-'*)!!事案に応じてどう当てはめていくかという部分が刑訴法の一番の楽しさなのですから!!!
要は、根っこの部分をガッチリ押さえておけばいいんです。
つまり、【司法警察活動】なら①捜査比例の原則(刑訴法197条1項本文、憲法13条)
、②強制処分法定主義(197条1項但書)、③令状主義(憲法33,35条)の3つをクリアしているかどうか、【行政警察活動】なら①「法律の留保」原則(=法律による行政)と②警察比例の原則(警職法1条2項)をクリアしているか否かを一つずつシッカリ押さえていけばいいだけなんです。


ぐえへ(*'-'*)ノシ

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